北海道三座
 登山紀行

 幌尻岳・トムラウシ・旭岳                    (2016.7.19〜7.25)      

清藤 道男



百名山も、あと20座残すところとなってきた。2年ぐらい有れば、百名山達成かな・・。去年のそんな頃。
 テニス木曜会の先輩である関川さんから、夏の北海道三座(トムラウシ・幌尻・大雪)に一人で行くという話を聞いた。で、すぐ、「私も連れて行って貰えないですか?」と、頼んでみた。「いいよ。」の即答。「でも、ゆっくり、ゆっくり登るよ。」
有り難い。渡りに船とは、このことだ。関川さんは、私より10歳程年上である。テニスの大先輩。あちこちの大会に出ている。うまい。テニスと同時に、百名山もやっている。今回の三座で百名山見事達成とのこと。その記念の山行に同行できるとは、なんたる幸せか!!関川さんは、超難関のジャンダルムや大キレット、不帰の剣等も制覇している。百名山だけやるには、その難関は避けて登る人が多いのに、敢えて難しいコースにも挑戦している。凄いなあ。ちなみに、百名山では剱岳が一番の難関かなと思うが、それよりもさらに難しいコースなので有る。勇気100lで無いと行けないコースである。険しい岩場の連続コースなのである。普通登山ツァーでは行かないコースである。そんな難所も踏破している山でも達人である。
行くことに決まると、数日して完璧登山計画がメールで送られてきた。七日間の予定がきっちり入っている。時間、値段、交通手段、必要な物等、これを見れば全部準備OK。 数日すると、その改訂版が送られてくる。さらに、詳しくなったものである。
概要は、茨城空港から千歳空港。レンタカーで三座回り。千歳空港から茨城空港へ。茨城空港迄は、関川さんの車で送迎してくれるという至れり尽くせり。感謝。有り難し。
関川さんは、パソコンもスイスイなのだ。おまけに、ヒコーキ切符、宿、山小屋、レンタカー等の手配も全部やってくれた。さらに、幌尻岳の川渡りで使う渡渉用の靴もインターネットで安いのを注文し買ってくれた。申し訳なし。有り難し。夏が待ち遠しいなあ。

7月19日(火)
入間市駅で待ち合わせ。六時半。茨城空港迄関川さんの車で。茨城空港は初めて。結構遠くにある。でも、駐車料金が無料。羽田や成田と違って迷子になる心配も無い。何処の乗り場か探す必要も無い。全体が見渡せる。こじんまりとしていて、いいなあ、こんな空港は。
 あっという間に、千歳空港着。レンタカーを借りる。途中、スーパーで食料や水など購入。今日は、幌尻岳の登山口に有る、とよぬか山荘まで。車で2時間半かかって山荘へ。夕方前、とよぬか山荘着。ここは、廃校になったところ。学校だったところ。
 一泊二日五千円。二段ベットがある、夕食もジンギスカンと豪華。勿論、美味しいビールも飲める。風呂もあって、快適。グースリ休む。あとは、雨が降らないことを祈るだけ。幌尻岳の難しいところは、川渡りがあると言うこと。だから、大雨のあととかザーザー降りの日は登山禁止。そんな時は、山荘からのマイクロバスも出ない。ツァーでも、同じ。高いお金を出してここまで来ても、登山できずに帰るツァーもある。それを回避する為に、川を渡らずに行く迂回コースも、別登山口から有る。でも、川渡りしたいなあ。夢で、スヤスヤ。
7月20日(水) 4時間歩き
7時 とよぬか山荘発。マイクロバスで1時間で第2ゲートへ。ここから、林道を歩く。2時間ぐらいで、北電取水施設到着。ここから、いよいよ川渡り。登山靴を渡渉用の靴に履き替える。渡渉用の靴は、底がフエルトで出来ている。つまり。滑らない。石を渡っていっても、滑らない。深いところで股下ぐらい有る。流れも速い。二十回ぐらい右から左岸へ、左から右岸へと渡りながら川を上流へと上る。川を渡らないと川の脇には道も無い、隙間も無い。川を渡らないと歩けないのだ。流れに足を取られて転んでずぶ濡れになる人もいる。石で滑って、転ぶ人もいる。でも、私達の渡渉用の靴は優れものだ。石の上をすいすい渡れる。石の上の方が、流れの圧力も少ないので安全。そして、何しろ、滑らないのだから。楽しい。面白い。何処を渡るか、どのコースが浅いか試しながら進む。1時間半ぐらいで渡渉終了。あー、楽しかった。靴のおかげだなあ。すると、目の前が山小屋。川のすぐそばに、幌尻山荘が建っている。この山荘は、シーズンの時は一人スタッフがいる。地元の山岳会の人のようだ。一泊、千五百円。シュラフやマット、食料は全部自分たちで持って行かなくては成らない。でも、ビールは売っていた。350_g五百円。毛布も有料で貸してくれる。重い荷物をしょって、渡渉だから結構大変なコースだ。私達も、次の日に登頂して又ここに泊まる。だから、U泊分の食料が必要。中々重くなる。アルプスの山だと、山小屋が整備されていて、身軽で登山を楽しめるが北海道の山はそうはいかない。自分で、全部準備してしょっていかなくては成らない。しかも、天気の急変もある。熊への警戒も必要。 でも、装備は随分便利になっている。シュラフも軽くてコンパクトでしかも、暖かい。
レトルト食品も美味しくて、暖めるだけで食べられる。「佐藤のご飯・コシヒカリ」も美味しい。6パックも持って来た。赤飯もある。これでおにぎり作って、次の日の昼食用にする。重いのが難点だけど、ご飯が美味い。他の人は、もっと軽い食料の人が多い。コシヒカリに、カレーは最高である。ガスバーナーの調子も良い。麦酒を飲んで、レトルトつまみを食べ、大自然の中で幸せな時間である。縄文人だった頃の血が騒ぐ!!?
山旅では、いろんな人と出会う。ビール飲みながら、話を聞くのも楽しい。6月から、山旅を続けているTさん。南アルプスを全部制覇して、東北を回って、北海道に来ているという。千葉の実家に帰るのは、9月だそうだ。凄いなあ。「ゆっくりゆっくり登れば、どんな山でも登れる。」改造した車で寝泊まりと移動。あとは、山小屋生活。お金もあんまりかからない。長旅、タフさ・・・・。

7月21日(木)
  7時間10分歩き
4時起床 朝食を食べ
4時半 出発
毎日快晴 夕方ざっと夕立があるがすぐ、いい天気になる。幌尻岳をぐいぐい登っていく。途中、「命ノ泉」がある。美味しい水なり。北カールを望む場所迄登ってきた。幌尻岳が正面。これからは、カール沿いの尾根道を歩く。カールには、草原が広がっており、箱庭のようだ。池も、あちこちにある。熊がいないかジーとみる。出てきても良さそうな、雰囲気のある場所である。こちらは、上から見下ろしているから熊が出てきたって大丈夫。 尾根道の両側は、高山植物の花盛り。秘密の花園!!!アルプスの少女ハイジの丘?!
私達がハイジ!?ジージでは有るけど・・・。満開だな。しかも、かなり上の方までずーと続く。こんな所は、日本アルプスでもそうは無いだろう。快晴で、真っ青な空。気持ちの良い尾根歩き。花々に囲まれて、幌尻岳はなんて良いところなんだろう。知らなかったなあ。来て良かったなあ。百名山をやっていなかったら、来なかったかも・・・。勿体ない。
山頂までゆっくり景色を味わって登る。最高の景色、最高の気分、来た人で無いと味わえない、山の極楽だなあ。
幌尻岳2052b登頂。
下りも、景色を眺めながら、降りる。予定より、早めに山小屋に着く。一気に、川渡りをしてとよぬか山荘まで行くという手もあったが、ゆっくりここを味わおう。それに、マイクロバスの時間が決まっているので、それを逃したり間に合わなかったりすると、大変。余裕のある、ゆったりコースでいいだろう。
夕食を作っていると、次々に団体客がやってきた。今日は、満席だなあ。ツァーは、スタッフが五、六人いて食料などを運んでくれる。さらに、食事も作ってくれてできあがった頃に、みんなを集めて晩飯と朝飯と明日の弁当の分を渡す。だから、晩飯が出来るまでツァー客は暇なのだ。でも、ずぶ濡れの服を着替えて、乾かしている人もいる。ツァーだと、三泊四日コースで東京からだと18万円ぐらいかかる。幌尻岳一座でそれほどかかる。 ぐんぐん登る強行登山者は、朝4時のマイクロバスで川を渡り、そのまま山頂まで行き、幌尻山荘に一泊もせずに降りていくという人もいるそうだ。凄いなあ。安上がりだなあ。 でも、麦酒を飲んでゆったり山の中にいるというのもいいなあ。今日は人が多すぎて、外のテーブルは満員だ。
 岩手から来ているSさん。毎年、7月、8月の2ヶ月間奥さんから休みを貰って、北海道のあちこちを回っているという。山に登るだけじゃ無くて北海道のあちこちをふらふら回るのが好きなんだという。いい老後の過ごし方だなあ。退職した年配者で、山は大賑わいである。元気である。「何でもやってみよう!!!」「ためしてガッテン!!」「書を捨てて、山に行こう!!!」元気な世代だ。
 さて、明日の朝のおにぎりを作っておいてから就寝。

7月22日(金) 4時間歩き
4時前には、出発。2日分の食料を食べたので、リュックも軽い。しかも、下り。天気も良くて、いいペースで行く。川下りも楽しい。水も、冷たくて気持ちよし。
八時半のマイクロバスに乗って、とよぬか山荘まで。そこから、次のトムラウシの登山口までレンタカーで行く。今度は、私が運転。途中、中華屋でラーメンと餃子。美味し。北海道は、広い。まっすぐな道。行けども行けども、畑、森。
 車で4時間半ぐらいで、国民宿舎東大雪荘。 ここは、大きい国民宿舎。風呂も、温泉で川沿いに露天風呂まで付いている。一泊一万一千円。 風呂にゆったり入って、食事。麦酒に、日本酒。食事も、豪華。 ベッドでゆったりグースリ。

7月23日(土) 11時間歩き
4時大雪荘を車で出発。40分ぐらい山道を登る。結構これで標高を稼げる。
登山口、4時50分発。いよいよ登り。ここからのコースは、山小屋も無し、日帰りで降りてくるか、テント泊しか無い。天候が悪くなったら、逃げる場所も無い。途中アクシデントがあっても、なにしろ帰ってこないといけない。天気が悪いと大変。夏でも寒くなり低体温症で死ぬ場合もある。2009.7には、トムラウシ山遭難事故が起きている。夏山で、ツァーガイドを含む八人も低体温症で亡くなった事故である。それは、大雪山旭岳から二泊三日でトムラウシ山を登り、トムラウシ温泉に降りるコースだった。 避難小屋に2泊。シュラフ、食料等持っての行程。悪天候・暴風雨・体力消耗・濡れた衣服・避難小屋では、乾燥機など無い・濡れたままで寝る、濡れたままで次の日の行動を余儀なくされる・二泊三日の日程の縛り・・。うーん。こんなすばらしい山なのに、悪天候では、天国と地獄の差だ。ガイドの判断、ツァー計画の善し悪し、・・・。山の天気は、望むとおりには成らない。
   合掌
初めは、割と登りやすい。さらに登っていくが急登はは無い。なだらかで、まるで、ハイキングコースのようだ。遠くの山々の景色も良い。沢に下っていくところが、急な下り坂になった。結構、グループや団体の人も多い。コマドリ沢は雪渓である。でも、かなり軟らかく、登山靴で大丈夫。雪渓を越えていくと、前トム平。なかなか、山頂が見えない。あそこかなと、思っても、そこへ行くとさらに先である。長い道のりだ。大きな岩の間を下っていくと、見事なトムラウシ公園。よくこんな山奥に、庭園風なこじんまりとした花園があるもんだ。天の仕業である。ちょろちょろ川も流れており、高山植物が咲き誇り、まるで足立美術館の庭のようなたたづまいである。奇蹟だなあ。
さらに、ドンドン登る。今度は、大きなごろごろした岩の越えていく。道も、色々変化があって面白い。
まだ頂上は、先のようである。南沼が見えてきた。ここは、水もアリ、テント場になっている。この先、30分ぐらいで頂上。トムラウシ2141b。
 さすがに、遠かった。でも、快晴の天気。風もそんなに強くない。これが土砂降りだったり、強風だったりすれば、大変な登山になっただろう。登山中止になっていたかもしれない。国民宿舎からのコースには、何しろ山小屋も無い。昼飯は、少し下ってトムラウシ公園で食べることにした。なんと言っても、最高の場所。すぐ上には、雪渓も残っている。
さて、下り。夕方までには、降りないと暗くなったら大変。途中、大きなリュックを背負っている登山者にも、何度もであった。テント泊の人だ。縦走するんだなあ。テントと、シュラフ、そして食料。中々重い荷物だ。いい天気の日の縦走は、最高だろうなあ。大雪山からトムラウシまで縦走したいもんだなあ。高山植物も、咲き誇っている。ナキウサギもいた。













登山口には、4時頃着いた。大体、11時間かかったかな。
早速、温泉に入る。今日も、国民宿舎東大雪荘泊。登ったあとに、温泉に入り、豪華な食事とビール。最高だなあ。贅沢だなあ。明日は、大雪山の麓に移動。日本酒も美味しい。 グースリ、スヤスヤ。





7月24日(日) 車で移動
朝風呂にゆっくり入って、美味しい朝食。
8時レンタカーで、旭岳ロープウェー近くの大雪山白樺荘に移動。
途中、映画高倉健主演「鉄道員」の駅見学。ラベンダー畑も見学。美瑛駅の道の駅でカツカレーで昼食。
2時頃 宿につい風呂、ビール。のんびり、ごろごろ。大雪山白樺荘は、7680円。小さな露天風呂もある。東京から来たMさんは、年配者なのに「青春18切符」をうまく使って、をしているという。これも、青春だな!!
夕食も美味しい。ビールと日本酒も進むなあ。いよいよ、明日は、三座目の旭岳。

7月25日(月) 4時間半歩き
6時の、旭岳ロープウェーに乗る。これで、随分上までいける。だから、観光客も多い。あちらこちらから、火山の蒸気が上がっている。噴火のあとなのか、赤くなった岩肌も見える。遠くの山々も見える。十勝岳、トムラウシ。大雪山渓の山々。凄いもんだなあ。神様も、遊びたくなるような、山々、景色、花園・・・。
大雪山旭岳 2291b
割と急な道をドンドン上り、山頂。関川さんは、百名山登頂達成。「おめでとう」。
三座全部、快晴。風も弱く穏やか。私たちの北海道入りの前は、天気悪く不順天候だったという。そして、私たちが帰った後は、天気が悪くなったようだ。奇跡的、幸運、感謝。全行程、良い天気に恵まれた。最高の、登山日和だった。

さて、この後は、レンタカーで千歳空港まで走る。これも、結構遠い。高速ができたので速くなったが…。千歳空港では、土産を見たり、ランチを食べたりで出発までの時間を過ごす。
千歳空港三時五十分。茨城空港六時四十分着。
狭山市駅まで送ってもらった。













充実した登山だった。最高の登山だった。関川さんのおかげである。たくさん話もできた。食事ごとに、麦酒を飲んでの話もよかった。テニスの話、子供のころの話、勉強の話…。車で移動の時も、いっぱい話せた。登山中も、いろいろ話せた。山小屋でも、麦酒を飲みながらいろんなことを聞けた。なんと、幸せな時間だったろうか。お世話になりました。一生の宝物ができました。
















トムラウシ山遭難事故(トムラウシやまそうなんじこ)
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